クラブの理事会が2021年11月16日にオンラインにて開催され、当クラブの財務状態および2022年度の保険契約更改に関する要請について検討しました。オープンとなっている保険年度に関する決定は、添付資料Aに纏めております。
今期においても、残念ながら、プールクレームはさらに高い水準となり、半年経過時点の合計額は、歴史的な高水準となった昨年よりもさらに深刻な結果となっています。特に、世界貿易の回復がパンデミック以前の水準に戻った現在の状況においては、さらなるプールクレームの上昇が今後も継続することは避け難い状況にあります。このプールクレームの傾向は、同時にCOVID-19に関連した船員クレームの発生頻度とその深刻さの増加と重なり、これらのすべてが、P&I部門全体のミューチュアル保険料が総じて不十分であるという事実によって状況をさらに悪化させています。
これにより、2021保険年度の期末時点におけるコンバインドレシオは110%超となり、保険収支上の欠損を予想されています。また、その結果として、フリーリザーブが減少することも予想されます。
これらの逆風は、クラブ内の保有クレームへのインフレ圧力と相まって、今期における現時点までの投資収益の低迷がさらに全体の結果に悪影響を与えており、これはP&I業界全体におけるこれまでの経験を特徴付けるものとして表れています。今後の投資収益の不確実性は、もはやクラブは保険収支上の欠損を補うのに、これに頼ることが出来ないということを意味します。
クラブの理事会は、依然としてメンバーを支援する必要性があることに焦点を当てています。それと同時に、クラブの長期的な資本の減少に歯止めをかけ、財務上の保険収支の均衡を保つため、持続可能な水準まで保険料を引き上げなくてはならないと言った責任ある行動も求められます。クラブの理事会は、直近の「ソフトマーケット」における海上保険市場のこれまでの習わしに折り合いをつけ、かつ上昇するプールクレームの実績を踏まえ、その是正措置を行うことを決めました。透明性と健全なコーポレート・ガバナンスの観点から、クラブの理事会では、来保険年度のクラブの全体的な予算上の要件をメンバーに案内することが適切と考え、そのようなことから、来保険年度に向け、以下のような結論に至りました。
P&Iについて
ミューチュアル保険料および定額保険料について – 来たる保険契約更改に向け、保険料率に対し15%のジェネラルインクリースを行うことを決定いたしました。 クラブの理事会は、このうち7.5%については、上昇するIGのプールクレームへの当クラブの分担金のコストに直接割り当てることを決定しました。そのことから、クラブの理事会は、当クラブの基盤である相互扶助と公平性の原則に則り、個々のメンバーの保険成績やパフォーマンスに拘らず、この分担金をすべてのミューチュアルP&Iのメンバーに対して適用することをお願いしています。
残りの7.5%については、当クラブの保有クレームの実績部分、および今後もクラブが持続可能な保険引受けを維持行うのに必要な保険料水準までの引き上げ部分に割り当てられます。そのようなことではありますが、クラブは、今後もメンバーの保険料が保険成績や引受けリスクを適切に反映して調整されるよう、引き続きすべてのメンバーの保険料と契約条件をしっかりと見直して参ります。
当然ながら、保険成績の悪いメンバーにおいては、公平な分担を行うため、これらの最低限の要求を上回る形で保険料と契約条件を調整いたします。
これに加え、船員(およびその他の人)関連のクレームを除き、50,000ドル未満の全ての免責金額については、最低2,500ドルの引き上げをお願いします。
但し、特に今年は船員(およびその他の人)関連のクレームが増加していることから、メンバーの公平性と持続可能な水準のリスクが維持されるよう、これらの50,000ドル未満の免責金額については、最低5,000ドルの引き上げをお願いします。
再保険について – 上記に加え、メンバーの保険料率は、国際P&Iグループの再保険プログラムの構造及びコストの変動に応じて調整されます。
FD&Dについて
ミューチュアル保険料および定額保険料について – 保険料率に対し7.5%のジェネラルインクリースを行うことを決定いたしました。なお、免責条件は変更されません。しかしながら、保険料は個々のメンバーの保険成績や引受けリスクを反映してさらに調整されます。
保険金のお支払いについて
来保険年度のP&I保険料につきましては、2022年の4月1日、6月1日、9月1日および12月1日の4分割による25%ずつのお支払いとなります。
FD&D保険料につきましても、平常通り、2022年の4月1日および9月1日の2度に分けて半額ずつのお支払いとなります。
2021年11月18日発行の当クラブのPre-Renewal Reportでは、今期の財務状況とクレーム発生状況に関する詳細をご案内しています。 こちら をクリックの上、Pre-Renewal Report 2022をご覧ください。ダウンロードも可能です。
クラブの理事会は、当クラブが強固な財務の健全性を維持していることに満足しており、この賢明な2022年度の保険契約更改に向けた方策が、クラブのしっかりとした財務方針と確かなアンダーライティング哲学に合致し、クラブがクレームの増加傾向や現在のCOVID-19による変動性や予測不能性がもたらす継続的な問題にも適切に対処できることを確信しています。
PAUL JENNINGS
ポール・ジェニングス
最高経営責任者
The North of England P&I Association Limited / North of England P&I DAC
CIRCULAR REF: 2021/022
添付資料A – オープンになっている保険年度
P&Iについて
2018/2019保険年度はクローズされ、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりでした。
2019/2020保険年度については、2022年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりに収まることが予想されます。リリースコールはゼロとなります。
2020/2021保険年度については、2022年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりに収まることが予想されます。リリースコールは、合計保険料の5%となります。
2021/2022保険年度については、2022年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりに収まることが予想されます。リリースコールは、合計保険料の15%となります。
2022/2023保険年度に対するクラブのリリースコールの査定は、15%となっております。
FD&Dについて
2018/2019保険年度はクローズされ、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりでした。
2019/2020保険年度については、2022年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりに収まることが予想されます。リリースコールはゼロとなります。
2020/2021保険年度については、2022年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりに収まることが予想されます。リリースコールは、合計保険料の5%となります。
2021/2022保険年度については、2022年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりに収まることが予想されます。リリースコールは、合計保険料の15%となります。
2022/2023保険年度に対するクラブのリリースコールの査定は、15%となっております。