財務状況の見直しおよび 20/21保険年度の保険更改について

残念ながら、今期のプール・クレームはさらに高い水準となり、半年経過時点の合計額は、過去25年間で最も悪い結果となりました。2018および2019保険年度におけるプール・クレームの上昇を踏まえると、対処しなくてはならない上昇傾向にあることが見て取れます。今期における弊クラブ内のクレームにつきましては、第1四半期における穏やかな状況が、その後、本日に至るまでの例年の平均を上回る実績によって悪化したものの、それでも昨年に比べて良い結果となっています。しかし、上述のプール・クレームの増加が、過去5年間でこれ以上継続できない水準にまで保険料が低下したことに伴い、さらに状況を悪化させています。

今年のCOVID-19のパンデミックによる影響は、予測される投資収益にも現在悪影響を与えています。投資市場に影響する構造的な問題もあり、クラブは今後もはや過去の平均的な投資実績に頼ることができないことを意味します。今期に関しては、コンバインド・レシオが110%となり、アンダーライティングの収支に2021保険年度の期末で損失がでることが予想されます。これにより、フリーリザーブも減少すると予想しています。

理事会は、海運業界が直面する経済問題に留意し、COVID-19のパンデミックが金融市場と海運市場にもたらす現在の変動性と予測不能性を認識しています。そのため、理事会はメンバーを支援する必要性があることにも焦点を当てています。しかしながら、クラブの長期的な資本の減少に歯止めをかけ、財務上の保険収支の均衡を保つためには、クラブの運営を継続可能な水準にまで保険料を引き上げるといった是正措置が必要とされます。

透明性と健全なコーポレート・ガバナンスの観点から、理事会では、来保険年度のクラブの全体的な予算の概要をメンバーに案内することが唯一適切であると考え、その考えに沿って、理事会は、昨今の海上保険において長期に渡り継続するソフトマーケットの問題とプール・クレームの増加の問題を解決するには是正措置が必要であると判断しました。そのことから、来保険年度に向けて以下のような結論に至りました。

P&Iについて

ミューチュアル保険料および定額保険料について – 来たる保険契約更改に向け、10%のジェネラルインクリースを行うことを決定いたしました。そのようなことではありますが、クラブマネジャーは、メンバーの保険成績や今後の引受けリスクを適切に反映した上で保険料が調整されるよう、全てのメンバーの保険料と条件を徹底的に見直すことを継続します。

当然ながら、保険成績の悪いメンバーにおいては、公平な分担を為すべく、この最少の要求を超え、適切に保険料と条件を調整します。

加えて、船員ならびに他の人的関連のクレームを除き、25,000ドル未満の全ての免責金額については 1,000ドルの引き上げとなります。 また、過去2年間における船員ならびに他の人的関連のクレームの増加に伴い、これらの25,000ドル未満の免責金額については、2,500ドルの引き上げとなります。

再保険コスト – メンバーの保険料率は、国際P&Iグループの再保険プログラムのコストの変動に応じて調整されます。

FD&Dについて

ミューチュアル保険料および定額保険料について – 5%のジェネラルインクリースを行うことを決定しました。なお、免責条件は変更されません。保険料は個別のメンバーの保険成績や引受けリスクを反映してさらに調整されます。

保険料のお支払いについて

2021保険年度のP&I保険料につきましては、2021年の4月1日、6月1日、9月1日および12月1日の4分割による25％ずつの徴収となります。

FD&D保険料につきましても、今までどおり、2021年の4月1日および9月1日の2度に分けて半額ずつのお支払いとなります。

2020年11月23日発行のクラブの保険契約更改前報告（Pre-Renewal Report）では、今期の財務状況とクレームの発生状況に関する詳細な情報をお届けしています。

理事会は、クラブが強固な財務状況を維持していることに満足しており、また、2021の保険契約更改に向けた方策が、クラブの統制された財務方針と確かなアンダーライティング哲学に合致していることに確信を持っています。そして、それらのことは、クラブがクレームの増加傾向や現在のCOVID-19による変動性や予測不能性がもたらす継続的な問題にも、適切に対処することになると考えております。

ポール・ジェニングス
最高経営責任者
The North of England P&I Association Limited North P&I DAC

添付資料 A – オープンになっている保険年度

P&Iについて

2017/2018 保険年度はクローズされ、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100%で予定どおりでした。

2018/2019 保険年度については、2021年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で予定どおりに収まることが予想されます。リリース・コールはゼロとなります。

2019/2020 保険年度については、2021年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で予定どおりに収まることが予想されます。リリース・コールは、合計保険料の5%となります。

2020/2021 保険年度については、2021年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で、予定どおりに収まることが予想されます。リリース・コールは、合計保険料の15%となります。

2021/2022 保険年度に対するクラブ・マネージャーによるリリース・コールの査定は、15%となっています。

FD&Dについて

2017/2018 保険年度はクローズされ、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で予定どおりでした。

2018/2019 保険年度については、2021年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で予定どおりに収まることが予想されます。リリース・コールはゼロとなります。

2019/2020 保険年度については、2021年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で予定どおりに収まることが予想されます。リリース・コールは、合計保険料の5%となります。

2020/2021 保険年度については、2021年5月に見直しが行われますが、追加保険料は予定されておりません。また、最終費用は当初に見込まれた合計保険料の100％で予定どおりに収まることが予想されます。リリース・コールは、合計保険料の15%となります。

2021/2022 保険年度に対するクラブ・マネージャーによるリリース・コールの査定は、15%となっています。