燻蒸処理を施すのは誰になるのか？COVID-19のパンデミック下における船上貨物の燻蒸処理

輸送中の燻蒸処理

輸送中の燻蒸処理はよくあることで、指定された乗組員が燻蒸作業員から基本的な研修を受けている。このような場合、燻蒸作業員が作業を開始し、ガス漏れ検査でガス濃度が十分に検知できるレベルに達するまで、燻蒸者は船内に留まることになる。船舶の安全性及びガスの漏洩のないことが確認されてからようやく、燻蒸作業員は船長にその業務を正式に引継ぐことが出来る。

但し、特定の貨物においては、航行中に追加の薫蒸処理が必要になる。例えば、最も典型的なものは木材であり、通常、運航中も燻蒸者は追加の燻蒸を行うことになる。COVID-19により燻蒸作業員の移動に制限が掛かるなか、輸送中の燻蒸処置が出来ない場合何が起こるだろうか？

燻蒸処理を乗組員に任せるのか？

有資格者である燻蒸作業員の乗船が許可されない場合に追加燻蒸処理が求められた場合、おそらく乗組員がその業務を実施しなければならなくなるだろう。

これは乗組員の燻蒸処理に対するIMOのガイダンスと矛盾するであろう。しかしながら、燻蒸実施会社の専門家から研修を受けた乗組員が効果的で安全な燻蒸処理を施したという実例が報告されている。

承認の取得

本船及び燻蒸実施会社は連携して、旗国及び寄港国の承認を求めるための計画を共に立案するべきである。その計画書には（リスクアセスメントを徹底的に行った上で）どのような作業を実施するのかを詳しく説明し、緊急時対策ならびにどのような研修を乗組員に行うのか記載することが求められる。

乗組員への研修

輸送中に安全な追加燻蒸処理を行うために、乗組員に求められる研修は、すでに実施されている燻蒸処理の維持を監視するだけのものよりはるかに包括的なものである。

ニュージーランドの燻蒸実施会社であるEnvirofume社は、乗組員を対象としたリン化アルミニウム（燻蒸剤）を使った安全な燻蒸のための研修（2日間コース）を提供しており、ノースへも研修プログラムの概要を共有している。

この研修は最低人数の航海士と部員が受けることとなっており、また、言語が障壁とならないことが条件である。ニュージーランドの場合だと、研修を受ける乗組員は高い水準で英語を操る必要がある。

研修は以下の点を網羅している：

• 燻蒸剤
• 安全の手順
• 事故発生時の対応
• 投薬、ガス検知、ガス漏洩試験の実施等すべてのプロセスを含んだ燻蒸に関する業務
• 必要書類

乗組員は最終試験を受け、燻蒸実施会社から正式に適任者と認定される。

積荷役の際に

訓練を受けた乗組員が実施する輸送中の燻蒸処理は、積荷を行う港で燻蒸処理の専門家が行うものと同じである必要がある。従って、その乗組員は航海中に燻蒸処理を行う前に、専門家とともにその全体的なプロセスを把握しておくべきである。

本船が積地を出港した後は、その研修を受けた乗組員は、安全確認の結果を毎日送るなど、燻蒸実施会社と緊密に連絡を取ることが推奨される。

安全な燻蒸作業

航海期間中、決められた日に燻蒸実施会社による段階的手順に従い、訓練を受けた乗組員が追加燻蒸処理を実施する。

重要な注意事項：燻蒸に適した天候であること、燻蒸開始前にブリーフィングを行い、燻蒸剤の安全な取り扱い方法を確認し、燻蒸剤の投薬もしくは配置後に取るべき使用後の個人用防護具(PPE)の取り扱いや洗浄方法などの対処を確認すること。

乗組員が作業中や事後の監視中に何か問題に直面した場合は、燻蒸実施会社は常時追加ガイダンスを提供すべきである。

ノースによる安全な燻蒸処理についてのご説明は、こちらからご覧ください。https://www.nepia.com/publications/fumigation-briefings/