電子(ペーパーレス)商取引- TradeLens社のeBL(電子船荷証券：Electric Bill of Lading)

本サーキュラーでは、国際P&Iグループ(以下「IG」)がこのたびTradeLensが提供する電子商取引システムを承認したことをご案内いたします。

メンバーの皆様におかれましては記憶に新しいかと思いますが、2010年2月までIGに加入するすべてのクラブは、電子商取引システムの使用により発生した貨物の輸送に関する責任のうち、書面(従来の容易に移動できる紙媒体)での商取引では生じていなかった責任については、てん補の対象から除外すると規定していました。

2010年2月20日以降、IGが承認している電子(ペーパーレス)商取引システムの利用に限定して、これらを運送契約で使用して生じた責任については保険カバーの対象としています。これまで、IGが承認した電子商取引（ペーパーレス）システムは、Electronic Shipping Solutions(現在のessDOCS、Bolero International LtdのRulebook/Operating procedures(1999年9月版)、E-Title、edoxOnline、CargoX、そしてWAVEの6つでしたが、2021年3月24日よりTradeLensがそのリストに仲間入りしました。

TradeLensは、MaerskとIBMが共同開発した、ブロックチェーンを活用したデジタルサプライチェーンを構築するシステムです。同システムは、船荷証券原本の発行、譲渡、回収の一連のプロセスを提供します。ブロックチェーン技術を駆使したTradeLens社のeBL(電子船荷証券)は、構造化された文書として運送人から荷送人へとデジタルで発行されます。発行されたeBLの情報は記録され、文書の識別子がTradeLensのブロックチェーンに保存されます。荷送人は、発行されたeBLをプラットフォーム上で確認し、準備が整い次第即座にeBLを譲渡できます。コンテナ貨物の引き渡しが準備でき次第、荷受人は運送人(船会社/輸送業者)にeBLをデジタルで提示するか、もしくは必要に応じて船会社/輸送業者のサポートを受けて紙媒体に戻して提示した場合でも、貨物を受け取ることが可能です。詳細についてはこちらをご覧ください。

TradeLensの使用および運用に関連する法的文書および使用条件は、2021年2月24日付のTradeLens社が提供するeBLに係る「ルールブックとサービスの説明書」に規定されています。なお、IGは同規定を確認の上で承認しています。

貨物運送に関して、国際P&Iグループのルールにおいて紙ベースの船荷証券でてん補対象外であるものは、承認を受けているすべての電子商取引システムを利用した場合でもその適用が継続されます。例えば、運送契約に定められた港または場所以外での貨物の荷揚げ、実際の日付より後または先の日付が記入された電子文書／記録の発行・作成、譲渡可能な電子文書／記録の提示なく積荷の引き渡しによって生じた責任は、国際P&Iグループが承認したの電子商取引システムの使用 時であったとしても、ルールに準拠していないものと見なされてん補から除外されます。弊クラブならびにIGはこれら電子商取引システムの運用や開発をモニターしていますので、同システムを使用されているメンバーの皆様において、法的または実用的な利点や問題点等がございましたら、弊クラブまたはIGへお知らせいただけますと幸いです。

IGのすべてのクラブが、同様のサーキュラーを発行しています。

ADRIAN DURKIN
DIRECTOR (CLAIMS)
The North of England P&I Association Limited North P&I DAC